「プレゼント開けてみてよ」

「うん」

夏焼さんがプレゼント箱を開けた。

「……な…何これ」

「どうしたの〜?……夏焼莉莎子…たかっち〜何これ?」

俺は箱の中を見た。底に今朝俺が夏焼莉莎子と書いて貼った厚紙があった。

「……これはいったい?」

俺は夏焼さんを見た。俺に惚れてる感じではなかった。

「たかちゃんごめん」

後ろを振り向くと、愛がいた。

「愛ね。たかちゃんが触ったらダメって言った箱触ったの。箱の中身も見たの」

「なんでぇ?どうして触ったぁ?ダメって言ったよな?」

俺は半分キレていた。

「あ〜あ、また夫婦ゲンカ始まったよ。りさ行こう」

須賀屋と夏焼さんは学校へ行ってしまった。

俺はそのことに気づかなかった。

「……だって、愛のプレゼントだと思ったもん」

「俺がお前にプレゼントあげるわけないだろ?」

「……だ…だって、今日は……」


「わかった。もういい!お前の顔なんかみたくない!」


愛はポロポロと涙をこぼして泣いた。


俺はそう言うと、学校の方へ歩いた。


「……た…たかちゃん、夏焼さんのこと好きなの?」

今にも消えそうな声で愛は言った。


「ああ。大好きさ!!お前なんかより何十倍、何百倍好きさ!!」

俺は愛を蹴り倒すような感じで言った。

「……そうなんだ」

愛はミジンコにしか聞こえない小さな声で言った。


……俺には聞こえなかった。


「あ…あたし、……キ…キスしたこあるの!!」


今、出せる全力の声で愛は言った。

俺は無視した。



……俺はなんで愛がこんなことを言ったのかこの時はわからなかった。