愛の贈り物

そして、花見当日の昼、俺の家族と愛の家族は前日に席を確保していた場所にいた。……隣の大きな桜の木が綺麗だった。


俺のおふくろと愛のお母さんが重箱を取り出して、蓋を開けた。


「うまそぅ〜」

俺は思わず声を出した。

卵焼きに唐揚げ、焼きそば……美味しい食べ物がずらりと重箱に並んでいた。

俺は腹が減っていたので今すぐに食べたかった。

そして、唐揚げを食べようとした時、


「たかちゃん！愛の弁当を食べてよ!!」


愛がドカベンの弁当箱を俺に見せた。

そして、蓋を開けた。


「えっ!?や…焼肉!?」


弁当箱の6割がご飯でその上に焼肉が敷き詰められていた。残りの4割は餃子とニラで敷き詰められていた。


「これは？」

「たかちゃんの好きな食べ物弁当だよ!!焼肉に餃子にニラ……好きだよね？」


愛は笑顔で言った。


「ああ……たしかに好きな食べ物だけど……量多くない？」


「愛がたかちゃんにいっぱい食べてもらおうと思ってたくさん作ったの!!たかちゃん！食べて！」


愛は俺に食べて欲しそうだった。


「こんなには……食べれ……」


「孝洋！よかったね!!お母さんたちはこっちを食べるから愛ちゃんの弁当を食べなさい！」


「はぁ！」


俺はおふくろを見て言った。

愛が俺の隣に来て

「愛も一緒に食べるから食べようよ？」


「……わかった」


「やった!!」

……この時、俺は限界まで愛の手作り弁当を食べた。この時の弁当とまったく同じ弁当を焼肉餃子ニラ弁当事件の日に愛が俺に持ってきたのだ。




俺は焼肉餃子ニラ弁当事件についてはもう怒っていない。


また、月曜日になれば、俺宛に封筒が届くと思ってたからだ。……二度あることは三度ある。