俺は歩きながら、ポケットから説明書を出し、もう1度読んだ。失敗しないようにだ。

すると、裏になにか書いてあった。

〜『惚れ方』〜
・好きな女子にバスクリンの香りを1分間嗅がして下さい。1分以内だと女子が惚れません。

誤って使用するところだった。

俺は1分間も夏焼さんに香りをどうやって、嗅いでもらおうか考えていた。

「たかちゃ〜ん」

後ろを振り向くと、俺に愛が元気よく手を振っていた。

俺はあいさつ代わりに右手を上げた。

よく見ると、愛は夏焼さんと須賀屋と一緒に歩いていた。

俺はめっちゃうれしかったが、不安もあった。

…愛がいるからだ。

愛は俺の方へ走って来た。

「おはよう!たかちゃん!!」

「おう。おはよう!」

愛はものすごい笑顔だった。

「あのね〜たかちゃん。渡したいものがあるの?」

「なに?」

愛はカバンの中から何かを取り出そうとした時、愛の後ろから須賀屋と夏焼さんが来た。


「おはよん!たかっち……あ〜たかっちから、いい匂いがする。りさ!匂ってみて」

(須賀屋ナイス!!)

と思うと、夏焼さんが俺の香りを嗅いだ。

クンクン

「……そう?全然しないよ。むしろ、ニンニクと焼肉匂いがする。」

「本当に!?あ〜本当だ!!」

「え!?嘘だ!!」

自分で自分の匂いを嗅いだ。

あのいい香りがしなかった。