「ママったら、それって私と慎ちゃんが結婚するって言ってるの?」
それを聞いた和美が少し怒ったように尋ねた。
「あらそうよ、昔からママがパパとそう決めてるの。だいたいあなたみたいなじゃじゃ馬慎ちゃんしか貰ってくれる人居ないでしょ?それに一人娘を全然知らない何処かの馬の骨に嫁にやったらそれこそ心配だわ、その点慎ちゃんならママ達も安心だもの」
「まったく!馬とか骨とか私は動物じゃないわ。慎ちゃん食べたら直ぐに宿題やろう」
「あ、うん」
僕はそれだけ言うのがやっとだった。
「おい、慎太郎、野球まだ始まらないぞ」
「いいの!ママが変な事言うから悪いんだからね」
そう言われ食事が終わると僕は半ば強引に和美に手を引かれ和美の部屋に連れて行かれた。
「まったく、ママったら直ぐに変な事を言うんだから」
部屋に入るなり和美はプリプリ怒っていた。
「あんなのいつもの冗談じゃないか、そんなに怒る事ないだろ?」
「冗談にしても度が過ぎるわ、大体私達ってまだ高校生なんだから。でしょ?」
「そりゃあ、そうだけど」
「大体慎ちゃんも黙ってないで少しは言い返しなさいよ」
和美の怒りは中々収まらない。僕はそんなに怒る和美を見て少し悲しかった、冗談でも僕と結婚するなんて話がそんなに嫌なのだろうか。
「和美は俺がそんなに嫌いなのか?」
そう思った僕はついそんな事を口走ってしまった。
「え?そ、それは・・・慎ちゃんは?慎ちゃんこそ何で言い返さなかったの?嫌じゃないの?こんな話」
今度は和美が僕に聞いてきた。
「いや、それはその・・・」
この先を言ってもし和美の返事がノーだったら僕は明日引っ越しをしないとならない。
「ねえ、どうなの?」
和美は尚も僕にそう尋ねた。もうどうにも言わないとならなくなってしまった。
「それは・・・それは・・・昔から和美が・・・好き・・だからさ」
僕は詰まりながら何とか自分の気持ちを伝えた、心臓は今にも破裂しそうだった。
「本当?」
それを聞いた和美の表情からは次に出る言葉が読めなかった。
「ああ、本当さ」
「いつから?」
「いつからって・・・ずっと昔からだよ」
「何で今迄言わなかったの?」
「そ、それは・・・・」
和美は僕に色々聞いてくるだけで肝心の返事はしてくれない。
「そうなんだ、ずっと言ってくれるのを待ってたのに」
「え?今なんて言ったの?」
それを聞いた僕は信じられなかった。そしてそう言った和美の顔はとても恥ずかしそうだった。
「慎ちゃんの馬鹿!」
そう言うと唖然としている僕の頬に和美はキスをした。それはほんの一瞬の出来事だった。
「か、和美・・」
「慎ちゃんさ、宿題は私が一人で写すからパパと野球を見てて」
「何で?」
「いいから、早く行って!」
僕は訳が判らないまま今度は和美に部屋から追い出されてしまった、そして鍵まで閉められてしまった。仕方が無いので僕は言われるまま和美の父親の所に戻った。
「お、なんだ、慎太郎宿題はもう終わったのか?丁度良かった、今テレビ中継が始まったところで今のところ巨人が勝ってるぞ」
「そうなんだ、良かったね、おじさん」
「何だ、嬉しくないのか?もしかして和美と喧嘩でもしたのか?」
「そ、そんな事ないよ。珍しくたまには一人で宿題をやるって言うから」
「そうか、頬っぺたなんか押さえてるから和美に叩かれたのかと思ったよ」
僕は無意識に和美にキスされた頬を触っていたらしい。和美の父親の隣に座り呑気にテレビなど見ていると先程の出来事がまるで夢でも見ていたように思えた。
(さっきのって・・・夢じゃないよな)
僕はあんなに嬉しい事がはっきりと自信を持って思い出せない事がもどかしかった。隣で野球中継に一喜一憂している和美の父親はこの事を知ったらどう思うんだろ?
「あ、そのさ、おじさん。僕もそろそろ帰るね」
「何だよ、慎太郎、まだ良いじゃないか。どうせ隣なんだし」
「うん、でも舞ちゃんもそろそろ帰って来ると思うし、おばさんに貰った物を温めたりしようかと思って」
「そうか?じゃあまた何時でも来いよな」
和美の父親は僕が帰るのを残念がった。でも何と無く和美の家にこのまま居るのが恥ずかしかった。それは部屋に居る和美が出て来て、顔を合わせたりしたらそれこそお互いにどんな顔をしたら良いか判らなかったからだ。
「じゃあ、おばさんご馳走様でした」
「あら、もう帰るの?まだ良いじゃない」
引き留める二人に挨拶をして僕は和美の家を出た。と言っても隣同士、僕は誰も居ない家に帰ると電気を付け着替えをしてベッドに横たわった。
考えれば考える程さっきの出来事が夢のように思えた。
それを聞いた和美が少し怒ったように尋ねた。
「あらそうよ、昔からママがパパとそう決めてるの。だいたいあなたみたいなじゃじゃ馬慎ちゃんしか貰ってくれる人居ないでしょ?それに一人娘を全然知らない何処かの馬の骨に嫁にやったらそれこそ心配だわ、その点慎ちゃんならママ達も安心だもの」
「まったく!馬とか骨とか私は動物じゃないわ。慎ちゃん食べたら直ぐに宿題やろう」
「あ、うん」
僕はそれだけ言うのがやっとだった。
「おい、慎太郎、野球まだ始まらないぞ」
「いいの!ママが変な事言うから悪いんだからね」
そう言われ食事が終わると僕は半ば強引に和美に手を引かれ和美の部屋に連れて行かれた。
「まったく、ママったら直ぐに変な事を言うんだから」
部屋に入るなり和美はプリプリ怒っていた。
「あんなのいつもの冗談じゃないか、そんなに怒る事ないだろ?」
「冗談にしても度が過ぎるわ、大体私達ってまだ高校生なんだから。でしょ?」
「そりゃあ、そうだけど」
「大体慎ちゃんも黙ってないで少しは言い返しなさいよ」
和美の怒りは中々収まらない。僕はそんなに怒る和美を見て少し悲しかった、冗談でも僕と結婚するなんて話がそんなに嫌なのだろうか。
「和美は俺がそんなに嫌いなのか?」
そう思った僕はついそんな事を口走ってしまった。
「え?そ、それは・・・慎ちゃんは?慎ちゃんこそ何で言い返さなかったの?嫌じゃないの?こんな話」
今度は和美が僕に聞いてきた。
「いや、それはその・・・」
この先を言ってもし和美の返事がノーだったら僕は明日引っ越しをしないとならない。
「ねえ、どうなの?」
和美は尚も僕にそう尋ねた。もうどうにも言わないとならなくなってしまった。
「それは・・・それは・・・昔から和美が・・・好き・・だからさ」
僕は詰まりながら何とか自分の気持ちを伝えた、心臓は今にも破裂しそうだった。
「本当?」
それを聞いた和美の表情からは次に出る言葉が読めなかった。
「ああ、本当さ」
「いつから?」
「いつからって・・・ずっと昔からだよ」
「何で今迄言わなかったの?」
「そ、それは・・・・」
和美は僕に色々聞いてくるだけで肝心の返事はしてくれない。
「そうなんだ、ずっと言ってくれるのを待ってたのに」
「え?今なんて言ったの?」
それを聞いた僕は信じられなかった。そしてそう言った和美の顔はとても恥ずかしそうだった。
「慎ちゃんの馬鹿!」
そう言うと唖然としている僕の頬に和美はキスをした。それはほんの一瞬の出来事だった。
「か、和美・・」
「慎ちゃんさ、宿題は私が一人で写すからパパと野球を見てて」
「何で?」
「いいから、早く行って!」
僕は訳が判らないまま今度は和美に部屋から追い出されてしまった、そして鍵まで閉められてしまった。仕方が無いので僕は言われるまま和美の父親の所に戻った。
「お、なんだ、慎太郎宿題はもう終わったのか?丁度良かった、今テレビ中継が始まったところで今のところ巨人が勝ってるぞ」
「そうなんだ、良かったね、おじさん」
「何だ、嬉しくないのか?もしかして和美と喧嘩でもしたのか?」
「そ、そんな事ないよ。珍しくたまには一人で宿題をやるって言うから」
「そうか、頬っぺたなんか押さえてるから和美に叩かれたのかと思ったよ」
僕は無意識に和美にキスされた頬を触っていたらしい。和美の父親の隣に座り呑気にテレビなど見ていると先程の出来事がまるで夢でも見ていたように思えた。
(さっきのって・・・夢じゃないよな)
僕はあんなに嬉しい事がはっきりと自信を持って思い出せない事がもどかしかった。隣で野球中継に一喜一憂している和美の父親はこの事を知ったらどう思うんだろ?
「あ、そのさ、おじさん。僕もそろそろ帰るね」
「何だよ、慎太郎、まだ良いじゃないか。どうせ隣なんだし」
「うん、でも舞ちゃんもそろそろ帰って来ると思うし、おばさんに貰った物を温めたりしようかと思って」
「そうか?じゃあまた何時でも来いよな」
和美の父親は僕が帰るのを残念がった。でも何と無く和美の家にこのまま居るのが恥ずかしかった。それは部屋に居る和美が出て来て、顔を合わせたりしたらそれこそお互いにどんな顔をしたら良いか判らなかったからだ。
「じゃあ、おばさんご馳走様でした」
「あら、もう帰るの?まだ良いじゃない」
引き留める二人に挨拶をして僕は和美の家を出た。と言っても隣同士、僕は誰も居ない家に帰ると電気を付け着替えをしてベッドに横たわった。
考えれば考える程さっきの出来事が夢のように思えた。