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……いったいどこに捨てられるんだろう。


そう思っていたのに、大熊くんがたどりついたのは、意外にもちゃんと、保健室の前だった。


大熊くんは、わたしを抱えたまま引き戸に手をかけ、するすると器用にとびらを開ける。


なかに入った瞬間、消毒液のにおいが、つんと鼻をついた。


保健室に、先客はいなかった。


先生も留守にしているようで、しんと静まりかえった空間には、白いカーテンがはたはたとひるがえっているだけだった。



「……いないのかよ」



すぐ真上で、大熊くんがつぶやいた。


びくりと、肩がふるえる。


……まさかの、大熊くんと、保健室で二人きり。



「……っ、」



その状況に、わたしは絶句していた。