ぴくりとも動かないところを見ると、どうやら、また眠っているみたいだ。


すこし安心して、わたしはほっと息をついた。


足を止めたまま、教室にかかっている時計を見上げる。


時計の針は、もう、午後三時半を回っていた。


ふと、疑問に思う。



……大熊くん、柔道部だったよね?

部活、行かなくていいのかな……?



ものすごく不自然な動きで首を回し、わたしはもう一度、窓際一番後ろの席を見た。


大熊くんは、やっぱり熟睡していた。


すうすうと、規則的な寝息が、わたしの耳に届く。


やすらかなその音は、教室がにぎわっている昼間には、聞こえないものだった。



「…………あ…あのっ」



話しかけるのはこわいけど、このままほうっておくわけにもいかない。