頭の中で考えていたことを思わず口に出してしまって、そんな自分に慌ててしまった。

何言ってるんだろう、私。


彼女だって皆も言ってたし、
そもそも私が何か言う事でもないし、

何より・・・聞きたくない。


聞きたくないけと・・・気になる。


馬鹿みたいだ。


「綺麗な人って・・千花?」


そっか、チカさんて言うんだ。

結城くんはチカって名前で呼んでるんだ。

彼女?なんて聞かなくったって、本当はチカさんを見つめる結城くんの顔を見た瞬間にわかってしまった。


あの人は・・・






結城くんの好きな人だ。







「彼女じゃないよ。お姉ちゃん」

「え!?」

「兄貴の奥さんなんだよ。 だから、血は繋がってないけど、お義姉ちゃんだろ」

「そうなんだ」

「うん」


でも、

だけど、


「好きな人、だよね?」

結城くんは何も言わない。

何も言わないのが、答えな気がした。

まっすぐに私を見るその瞳に耐えられなくて、視線を逸らした。


「すごい美人だもんね。好きになっちゃうのわかるよ! 明るくて、性格も良さそうだし・・・チカさんていくつ?
大人っぽいけど、実は私と同じくらいかな!?」

無理にはしゃいだ自分の声が、白々しく響く。

結城くんがふーと大きく溜息をついた。