----------------------

「あ、お帰り、山崎くん」




屯所に帰ると、真っ先に沖田さんに捕まった。





「ね、あの子の家どんなのだった?」




「家、ですか?」




俺が聞き返すと、沖田さんは笑顔で頷いた。




なぜ、そんな事を……




少し疑問に思ったが、俺は素直に答えた。




「家は見ていません。

 途中で、ここまででいいと言われたので」




「ふーん……」




すると、沖田さんは俺を見て、ニヤっと笑った。




「ねえ、山崎くん。

 あの子、本当にここの人間なのかな」




「……江戸から来た旅人の娘だとでも言いたいのですか?」




「いや、そういうことじゃなくてさ」




「では、どういう事なんですか」




「うーん、こんなこと言ったら笑っちゃうと思うんだけど……」




その後に続いた言葉を聞いて、俺は思わず




「は?」




と言ってしまった。




「まあ、全然根拠なんてないんだけどね。

 なんとなく思っただけ、忘れて」




そう言って、沖田さんは行ってしまった。