だが、二宮の死があった上で私の命があるのだと思うと、喜んでもいられない。

「あ、ねぇ、ちょっと待って」

バケモノの残骸が散らばる地面に視線を向けたまま、私は少し先を歩く赤野を呼び止めた。

「どうしたの?」

赤野は体ごと振り返って、すぐ後ろで足を止めた私を見る。

「赤野君、香水のビン持ってたわよね?」

「持ってるけど、何に使うの?」

赤野はポケットからスズランの毒が入った香水のビンを取り出し、不思議そうな顔をしながら差し出した。

「細工するのよ」

私は香水のスプレー部分を回して取り外し、それを赤野に渡す。