地面には血肉が散らばり、踏まないで歩くのは不可能だった。
「そういえば折笠さん、爆弾なんて持ってたの?」
赤野は肉片を気にもせず、踏み付けながら私を見る。
「爆発したのは爆弾なんかのせいじゃなくて、共食いしたからよ」
私の言葉が理解できない赤野は、眉を寄せて首を傾げた。
「胃袋の中で、胸ポケットに挿してた黒バラを落としたの。そしたらバケモノが苦しみだして、爆発したのよ。要は拒絶反応ってやつね」
二宮の血ではない、他の何者かの血で潤った黒バラだったら、私は花瓶の部屋から持ち出さなかっただろう。
「じゃぁ俺が食われてたら、そのまま死んでたんだ……」
「食べられたのが私で良かったわ」
偶然が重なったおかげで、私たちは助かった。