「変ね……でもこのまま甲冑と出会わなきゃ良いわ」
空のオレンジ色が濃くなってきた。
そろそろ日が暮れる。
夜になってしまうと、屋敷から逃れられたとしても帰り道の森の中で迷ってしまう可能性がある。
屋敷の曲がり角に差し掛かる。
赤野と会話をしながら屋敷の角を左に曲がると、蜘蛛の巣の様に張り巡らされたイバラが道を塞いでいた。
屋敷の壁と森の木との間にイバラが絡み付き、屋敷の表側に出ることは出来そうになかった。
迂回しようと隣接した森に視線を向けたが、同じ様に不規則にイバラが張り巡らされ、突破出来なかった。
ぐるりと体を反転させてイバラを辿ると、反対側の巨大な黒バラの残骸の方まで続いていた。
どうやらイバラで囲まれた中心に屋敷が建っているようだ。