外に繋がる扉は玄関以外には発見できていなかった。
「紙を炙って見つけたんだ……折笠さんにまた会えて良かったよ」
「私もよ。助けてくれてありがとう。屋敷から出られたわけだし、早く森を脱出しましょ」
私は巨大な黒バラが生息していたのとは反対側の屋敷の曲がり角に視線を送った。
「あっちは調べてないけど、他のバケモノさえ居なければ屋敷の表に出られると思う」
赤野は私の視線を辿るように首を動かす。
「それじゃ行ってみましょ」
「体は大丈夫なの?」
赤野は歩き出そうとした私の腕を掴んで止めた。
「背中が少し痛むけど、歩けない程じゃないし、休んでる暇は無いわ」