赤野に手当てしてもらった左肩に手を添えて、生きているなら赤野は無事に脱出してほしいと心から願った。

私は諦める様に目を閉じて重力に従った。

「折笠さんッ!?」

幻聴が聞こえた自分に鼻で笑うと、次の瞬間には力強い腕に抱き止められていた。

ゆっくりと目を開けると、息を切らした赤野と目が合った。

「折笠さん……?」

赤野は眉をハの字にして泣きそうな顔で私の名前を呼んだ。

「……ここは天国?」

ほんの少し口角を上げて赤野を見上げる。

「強いて言うなら、地獄かな」