爆発の衝撃で、胃袋を突き破った背中がズキズキと痛む。
赤野に応急処置をしてもらった左肩に、バケモノの体液が広がり、しみて痛い。
その体液は、今まで食い殺した人間の血なのかバケモノの血なのかは分からない。
あちらこちらに散っている肉片の中には、谷原や塚本の人肉が混ざっているのかもしれない。
でも、そんな事どうでもいい。
今度こそ私は死ぬのだ。
夕方の空が見える視界の両端には、木の天辺と赤い屋根が見えていた。
森で大きく育った木々よりも、大きな屋敷の屋根よりも、私は高く吹き飛んでいるのだ。
この高さから地面に落下すれば、全身を打ち付けて確実に死ぬ。
空を舞う私には、迫り来る死を回避する術は無い。