ヌルヌルとした足場では立ち上がる事は不可能だ。

私はいつ吐き出されても受け身を取れる様に、ライトで胃袋全体を照らしながら出口を探す。

揺れる胃袋の中で倒れ込まないようにバランスを取っていると、体液で濡れた手で握るスマホが滑り落ちてしまった。

ライトを点けたままのスマホは、乱雑に胃袋の中を照らしながら体を支えている手元に落ちた。

「ッ!?」

落ちる間に一瞬だけ照らし出された胃袋の床が、膨らんでいるように見えた。

慌てて体液まみれのスマホを拾い上げ、異変が起こっている胃袋の底にライトを当てる。

すると黒バラが溶け焦げた所を中心に、胃袋の床が膨らんでいたのだ。

それは見る見る大きく成っていく。

「ヤバイ」