弾切れの乾いた音が右手から聞こえて舌打ちをした。

弾が無いのでは、拳銃はただの火薬臭い鉄の塊だ。

私は役立たずな拳銃を、銃弾の代わりにヌルヌルした目の前の壁に投げ付ける。

びちゃっと下品な水音を立てて、バケモノの呼吸で上下する胃壁の上に滑り落ちた。

他に攻撃できる様な武器は持っていない。

イエスのナイフもスズランの毒も、一本のマッチも赤野に預けてしまっていた。

せめてスズランの毒さえあれば、私を吐き出してくれると思ったのだけれど。

「はぁ……」

大きな溜め息を漏らすと、体の力が抜け、自然と首が曲がり頭が垂れる。

「ん?」