だが狙う場所を変えたところで、バケモノの様子は変わらなかった。
「なんなのよッ!」
私は焦り始める。
ライトなど構えず、適当な方向へ銃口を向けて銃弾を撃ち込んでいく。
バンッ バンッ バンッ
銃声は反響することなく、赤黒い空間に吸い込まれた。
そのおかげか、反響音で鼓膜を痛める事は無かったが、撃ち込むと言うより銃弾を飲み込まれているだけだという事に気付き、焦りは苛立ちに変わった。
巨大な黒バラのバケモノには、私の攻撃など全く効いていなかった。
その事実に気付いていながらも『あと一発撃ち込んだら』『もしかしたら次で』と考え、次々と胃袋に発砲した。
カチッ……カチッ……