少しずつ開く扉の隙間から、溢れ出す光が眩しい。
「ここは……」
崩れたレンガを跨ぎ、光に満ちた扉の向こう側に足を踏み入れた。
新鮮な空気が流れ、緑の匂いが鼻をくすぐる。
オレンジ色の空の下、ここは外だった。
ドアノブを掴みながら久しぶりの土の感触に、その場で何度も足踏みをした。
「あ、そうだ」
充分に土の感触を味わってから、ドアノブにしていた香水のビンが回収できるか試みた。
中身の液体が本当に毒なら、他に使う場面があるだろうし、屋敷の内側ならドアノブを回収しても問題は無いだろう。
香水のビンを掴んで引っ張ると、青い扉のドアノブを引き抜くより簡単に抜けた。