蓋は無く、スプレー部分が剥き出しだ。

「……ッ!」

もしかしたら、もしかするかも。

俺は慌てて駆け寄り、香水を掴んで再び黒い扉の前に立つ。

香水のビン部分を掴み、小さな扉の穴に金色のスプレー部分を挿し込んでみる。

カチッ……

サイズはピッタリで、挿し込むと音を立ててはまった。

ゆっくりと手を動かすと、中の気泡が動きながら香水のドアノブはしっかりと回った。

香水のビンがドアノブの役割を果たしている事に驚きながらも、俺は扉を押し開けた。

ギギギギギギ……