3階にあった扉とは違い、他の扉と同じ一枚扉だったのだが、ドアノブが無かった。

レンガで表面を覆われていたのだから、ドアノブが無くて当たり前な気もするが、これでは扉を開けられない。

本来ドアノブがあるべき所には、小さな丸い穴が開いているだけだった。

試しにその穴に指を入れ、押したり引いたり、横に力を掛けてみたが扉は全く動く気配が無かった。

「ドアノブ探しか……」

俺は歩き出し、青い扉の前で足を止めた。

扉は沢山あるのだから探すと言うより、取って来れば良いのだ。

青い扉のドアノブはネジで留められていなかった。

これなら外れるかもしれない。

俺はドアノブを両手で掴み、左足を上げて扉を踏みつける。