小さなミスも許されない一瞬の勝負。

俺は意を決して扉を大きく開けた。

扉が閉まらない様に素早く赤い本をドアノブの真下に置く。

そして俺は一直線に駆け出す。

床の中央に腐った肉がこびり付いているが気にもせず、指示紙に手を伸ばす。

ベリッと右手で剥がし、ターンをすると赤い本で押さえていた扉が半分以上閉まっていた。

今も赤い本を押しながら扉は閉まり続けている。

走る速度を上げると、力強く床を蹴った足が腐った肉に滑ってしまった。

「やべッ!!」

閉まり続ける扉を目の前に転倒してしまった。