どこの壁とも同じ目の前の壁。

改めて壁を観察するが、違いが見当たらず不安になる。

「こーゆーのは、どっかにスイッチがあるはず……」

赤茶色のレンガの壁をペタペタと触ると、一つだけ微量だが動くレンガを発見した。

それはしゃがみ込むと、丁度俺の目の高さにあった。

両手の人差し指の爪でレンガの両端を引っ掛け、ゆっくりと手前に引き出す。

するとレンガは簡単に外れた。

レンガは想像しているよりもずっと薄く、蓋のようになっていた。

床に投げ捨てると、低い音を立てて三つに割れてしまった。

「さて、と……」