私は眉をハの字にした。
「じゃぁ……警察だからって分かってて危険な目に遭わせるのは良くないと思うんだ」
生意気に口角を上げる赤野に、言い返す次の言葉が見つからない。
「だから、俺は階段で上がるから、折笠さんはそこを動かないで」
縄ばしごの片方の麻縄は千切れ、もう片方だけでは赤野を支えられないだろう。
体重を掛ければ千切れてしまいそうだ。
「1人は危険よ!私がそっちに行くから一緒に三階に行きましょ」
「そこから落ちて、もし足首捻ったらどうするの?廊下で甲冑に遭遇したら逃げられないよ」
痛い所を突かれてしまった。
“もしも”の話をされては言い返す事が出来ない。