赤野は服の中に手を入れ、床に打ち付けた腰を触り、出した手の平を見る。
痛みに耐えながらも安堵の表情をしたので血は出ていなかったのだろう。
その様子を見て私も安心する。
「はぁ……私が手を伸ばした時に手を出さないからよ……」
「2人で落ちると思ったからだよ。落下する時に1人の方が怪我が少ないし、一人分の大きさの穴から2人で落ちる方が、引っかかったりして危ないと思ったんだ」
「私は警察よ?もう少し頼ってくれても良いんじゃない?」
立ち上がって服に付いた埃を払う赤野に、少し困り気味に伝えた。
「別に頼ってない訳じゃないよ。ただ男の俺が女の折笠さんに守られっぱなしなのは……かっこ悪いじゃん」
男だ女だと言っている場合ではないのだが、性別を気にしてしまうのは、やはり思春期だからなのだろう。
「助け合わなきゃ。男も女も関係ないわ」