赤野と縄ばしごの間を割って入り、縄ばしごを掴む。

赤野は渋々一歩後ろへ退がったので、右足を掛けて体を引っ張り上げる様に右手に力を入れる。

「気を付けて」

赤野に見送られ、私はゆらゆらと揺れる不安定な縄ばしごを登って行く。

登ってみると思ったより高さがあり、落ちても死にはしないが怪我は免れないだろう。

慎重に登る。

天井の四角い切れ目は蓋をするための板で、手で簡単に押し上げられるほど軽い物だった。

少しの隙間から、上の階の様子を伺う。

音はしなかった。

壁のくぼみにロウソクの炎が見えるので、視界を奪われる事は無いだろう。