「あなたはひとりじゃないの」

その言葉が私を強くしてくれる。

私は一人じゃない。

紅も、春雪も真咲さんもいる。

たとえ、家族に愛されていなくても。


バーベキューを始めた。
さっきの私とあきは姉ちゃんの口論を知らない春雪は、あきは姉ちゃんがいないことを不思議がった。

「あれ、あきはは?」

「私とさっきけんかして部屋にこもってるの」

「そうなの?いろは、嫌な思いしたよな。ごめんな、俺がいなかったから」

「ううん、ハルは悪くないよ。そう言ってもらえるだけで私は幸せだよ」
「いろは…」

「ん?どうしたの、顔、真っ赤だよ」

春雪は咳払いすると、

「俺、今お前がすごく愛おしいとか思った。抱きたくなった」

「…っ!」

今度は私が赤面する番だった。


私たちが火の調節をしながら話していると、お母さんが近づいてきて、

「ハルユキさん、あきはの様子を見てきてくれないかしら。部屋にこもったきり、出てこないのよ」

「お母さん、気にすることないですよ。あきはは情緒不安定なところあるし」

「まぁ、そうなんだけど、もうすぐお肉とか焼きあがるし」

「ハルユキ君、悪いが見てきてくれないか」