春雪の車で貸し別荘に戻ると、バーベキューの準備が終わっていた。

春雪は買ってきた食材をあきは姉ちゃんに手渡した。

「遅かったじゃない、ハルユキ」

「ああ、途中でいろはちゃんが気分が悪い、ってうずくまってるのを見たからね。車の中で涼ませてた」

「ふーん、そう。よかったわねぇ、いろは」

あきは姉ちゃんは粘りつくような視線を私に送ってきた。

私はキッと睨み返す。

「あー怖い、いろはって。人の彼氏に手を出すんだから。まだ子供のクセに」

「子供じゃないもん」

「そういうところが子供なのよね」

「はぁ?あきは姉ちゃんこそ私がハルユキさんと車に乗ってたぐらい動揺するんだから人間できてないんじゃないの」

「…っー!」

「大体、何でハルユキさんを信じてあげようとしないの?愛してるなら信じてあげればいいじゃない」

「うるさいわね、生意気言わないでよ」

「本当は自信ないんじゃないの」

私の最後の一言で、平手が飛んできた。

私は頬を押さえ、あきは姉ちゃんをにらみつけた。

「もう、いいっ。勝手にすれば」

あきは姉ちゃんは別荘の中に入っていってしまった。

私は真咲さんの言葉を思い出していた。