私たちは、二人で歩いているところを見られないように、裏門から出た。
裏門は基本的に生徒は使わないが、大通りに面している。

車が行き交う中で、春雪はすっと、綺麗な手を上に挙げた。

タクシーが一台、春雪の前に止まる。

「さぁ、乗って」

春雪に促されて、タクシーに乗り込む。

そして続いて春雪が乗り込む。

「すみません、大原霊園までお願いします」

春雪はそういうと、すっと前を見据えた。

霊、園?

どうして、霊園なんかに行くの?

肝試しにしては時間も早いし。

私にはわけがわからなかった。


車は往来の少ない道をひたすら走った。

メーターはもう3000円を越えている。

「先生、どうして霊園なの」

「まぁ、ついたら話すから」

春雪の目には意思の強さと、ほんの少しのかげりが見えた。

どうして霊園なんだろう。

私は疑問で仕方なかった。


霊園の入り口について、タクシーを降りると、辺りは少し薄暗くなっていた。

柳の葉が風に揺らめいていた。

ちょっと、怖いな。

私は思わず春雪の腕につかまりながら歩く。

高台にあるその霊園からは海が見えた。

「もう少しだから」