穴ほじくるの、好きなのかな。

どうでもいいけど、そんなことを思ったり。


私はまだ時間があったので日誌とガイドを持って、広い校舎を歩くことにした。

職員室から、視聴覚教室、LL教室、図書室、食堂、体育館…。

私が図書室を覗いたとき、まだ司書の先生は来ていないようだった。

でも、鍵は開いていたので、好奇心から中を覗く。

すると、見覚えのある男の先生が、ソファに座って眠っていた。

手元には、ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」。

そっか、昨日お父さんが遅くまで春雪を帰そうとしなかったから、寝不足なんだね。

春雪、寝顔可愛いね。

私は思わずそばにより、椅子の隣にしゃがみこんだ。

じっと見つめていても、春雪は起きない。

私は立ち上がり、静かに春雪の顔に自分の顔を近づけた。

そして、春雪の唇にゆっくりと、雪が降るような柔らかさで、自分のそれを重ねた。

私にとっては初めてのキスだった。

唇をつけて、思わず、身を引く。

私、何やってるんだろう。

春雪は私の先生で、お姉ちゃんの婚約者なんだよ!?

自分がしたことにとても驚くと同時に、愛おしさがこみ上げてきた。

私の大好きな、春雪。