あの頃の記憶が確かだったら、再会できたことに、もっと感動しただろう。

でも春雪の顔を思い出そうとすると、砂嵐のようにかき消されて、よみがえってはこない。

「あのひと、シュンセツじゃないのかな…」

つぶやく私に、紅は、

「はぁ、何、シュンセツって。ハルユキ、って言ってるじゃん」

と半ばあきれられたように言われてしまった。

あれはきっと春雪だ。

そう確信が持てたら、私は迷わず好きになっていただろう。

でも、子供の頃に会った春雪とは何となくだけれど、違うような気がした。

きっと、私の勘違いだ。
春雪はもっと笑顔の絶えない人だった。

でも目の前にいるハルユキは能面のように無表情だ。

きっと私の勘違い。

私は開いていた目を伏せ、始業式が終わるのを待った。