静かに耳で揺れるピアスに触れてみる。

冷たい感触が指先に広がる。


「えー、では新任の先生方を紹介します」

まだリクルートスーツを着たような初々しい感じの教師たちが、校長の後ろに並んだ。

一人ひとり、挨拶と自己紹介をしていく。

「体育担当の、管野です!!みんなとたくさん思い出を作っていきたいです。ヨロシク!!」

と明らかに熱い教師もいれば、

「えー、英語の森です。よろしく」

と手抜きな教師もいた。
私が目を伏せていると、にわかに体育館がざわつきだした。

声につられて視線を上げる。

視界に前の男子生徒の頭が入って、教師の顔が見えない。

私は視線の位置をずらすと、ハッとした。

色白で外人のような教師が挨拶していた。

「井上、ハルユキです。春の雪と書きます。担当は国語です。よろしく」
ハル、ユキ?

シュンセツじゃないの?
顔はなんとなく春雪に似ているけれど、記憶は曖昧な上、名前も微妙に違っている。

私が目を奪われていると、紅が話しかけてきた。
「ねぇ、あのハルユキ先生ってかっこよくない?」

私は適当な返事をして、何度もハルユキの顔を見た。