足きりにあったのだ。

私と紅は行く高校がなくなり、それでもレベルの低い、私立の共学校に入学することができた

それからも遊びほうける毎日。

母親はもう私とは顔を合わせることもなくなったし(お互いがお互いを避けている感じ)、姉たちも私をバカにするけれど、口では私にはかなわなかった。

いいんだ、これで。

毎日が楽しければ、人生なんてこんなもんなんだ。

そう諦めきっていた。

人生に期待なんてしていなかったし、親にも何も求めなかった。

学校にも、大して愛校精神もなかったし、友達ともうわべだけの付き合い。

紅だけは親友だったから親しかったけど。


「ほらー、電車来ちゃったじゃん。早くしなよー!!今日始業式だよ!?」
「わかった、急ぐ!!」
ぎりぎりで電車に駆け込む。

背中でドアが合わさる。
「セーフ」

「セーフじゃないっしょ!まだ学校まで時間かかるんだから」

「あ、そうか」

私はふっと耳たぶに触れた。

5年前、不思議な高校生から贈られた透明なブルーのピアス。

耳元で涼しげに揺れている。

あの人、元気にしてるかな…。

もう名前は忘れてしまった。