すると、さすがにお父さんとお母さんとお姉ちゃんたちは驚いたような顔になり、私に言った。

「いろは、何言ってるんだ。お前はまだ高校生なんだぞ。一人で暮らすなんて」

「そうよ、子供のクセに生意気なこと言ってるんじゃないわよ」

私は、浮かんでくる涙をこらえながら、言った。
「じゃあ聞くけど、私を必要としてくれたことがお父さんやお母さんには今までありましたか。お姉ちゃんたちにも、ありましたか」

一瞬、家族の間に沈黙が走る。

私は構わず続けた。

「もしだめだと言うのなら、私は高校を辞めて、働きながら一人暮らしをします。今はとにかくもうあの家であなたたちと暮らすことはできません」

すると、父親は、

「いろは、それは今までの父さんたちの対応が許せなかった、ってことなんだよな」

「はい、もう家族だとは思っていません」

「もう、何を言っても信じてもらえないのか」

「はい、もうあなたたちに期待はしていませんから」

父親はベッドに横たわったまま、目を閉じ、ふぅ、とため息をついた。