私が家を出て、タクシーを拾う頃には雨も上がって、ところどころに千切れた雲が浮かんでいた。
雲の間から見える空はオレンジ色に染まり、柔らかな光を放っていた。
セミがジージーと再び鳴きだし、辺りはにわかに騒がしくなってきた。
ここから母親の言っていた病院まではタクシーで30分くらいだと、タクシーの運転手は言った。
私は内心ドキドキしながらタクシーの窓から外を眺めていた。
病院に来い、とはどういうことなのだろう。
何かが起こったことは間違いないけれど、誰に何が起きたか母親は言わなかった。
全く見当がつかなくて私は携帯電話を開き、母親の携帯に電話をかけた。
けれど、電波が届かない、と冷めた音声が流れるだけだった。
目的の病院に着いた頃には夕日が傾きかけていた。
遠くに見える入道雲が先ほどの雷雨の強さを物語っていた。
受付で名前を告げると、看護師さんは個室に通してくれた。
そこにはベッドを囲んだ母親と、あきは姉ちゃん、かずは姉ちゃんがいた。
私は静かに声をかけた。
「お母さん」
母親は静かに振り返る。
ベッドには父親が横たわっていた。
雲の間から見える空はオレンジ色に染まり、柔らかな光を放っていた。
セミがジージーと再び鳴きだし、辺りはにわかに騒がしくなってきた。
ここから母親の言っていた病院まではタクシーで30分くらいだと、タクシーの運転手は言った。
私は内心ドキドキしながらタクシーの窓から外を眺めていた。
病院に来い、とはどういうことなのだろう。
何かが起こったことは間違いないけれど、誰に何が起きたか母親は言わなかった。
全く見当がつかなくて私は携帯電話を開き、母親の携帯に電話をかけた。
けれど、電波が届かない、と冷めた音声が流れるだけだった。
目的の病院に着いた頃には夕日が傾きかけていた。
遠くに見える入道雲が先ほどの雷雨の強さを物語っていた。
受付で名前を告げると、看護師さんは個室に通してくれた。
そこにはベッドを囲んだ母親と、あきは姉ちゃん、かずは姉ちゃんがいた。
私は静かに声をかけた。
「お母さん」
母親は静かに振り返る。
ベッドには父親が横たわっていた。