母親に叩かれてから1週間が過ぎていた。

私はその日、どうしても塾に行きたくなかった。
勉強なんて嫌い。

頭が悪いのに、いくらやっても無駄だよ。

そう思うと足は自然と繁華街に向かっていた。

繁華街に出ると、ネオンの灯りで真昼のような輝きだった。

うわー。

夜の街、って初めてきた。

でもなんだかわくわくする。

結構人がいるんだね。

知らなかった。

金髪のお兄さん。

ピアスの穴だらけのこわもてのおじさん。

超がつくほどのミニスカートのお姉さん。

そこは私の知らない夜の街だった。

私は店を一軒一軒見て回った。

洋服屋さん。

お菓子屋さん。

おもちゃ屋さん。

アクセサリー屋さん。

どれもきらきら輝いていた。

欲しいな、これ。

いくらだろう?

値段を見ると、300円と書かれていた。

財布をあけると、お母さんからもらった1000円と月々のお小遣いの3000円が入っていた。


どうしよう、買おうかな。

でも穴、空いてないし。
そこへ視線の先にピアッサーが映った。

あれであければいいんだ。

私はお小遣いを握りしめて、ピアッサーとストーンのついたピアスを買った。