「この1ページだけでも答え書いてるのにほとんど間違ってるし」



「うそっ!!」




テキストの最後ページに載っている答えと照らし合せてみると、見事にほとんど間違ってる...。


あれ、何で...。




「ちゃんと公式とか理解してんの?ただやみくもにやってね?」



美加子は数学がすごく苦手だ。
自力でやっても出来なかったから今日分からないところを聞きに来たのに。

解いたところが間違ってるなんて...。




「ほら、ここも...って、聞いてんの?」




やだ...


恥ずかしい。



なんか、何でか分からないけど泣きそう










「ちゃんと分かるまで教えるから」



「...え...」



「こんなの俺だって最初は分からなかったよ。だからゆっくりやってこ」






また、そんな優しい顔されたら美加子はどうしたらいいの。


美加子はペンを持って、一生懸命先生の話を聞いてたけど、心臓がドキドキって

ずっとドキドキしてた。






結局テキストが全部終わったのと、美加子が数学を理解するので、気付けば夕方になっていた。

夜には塾の生徒達がやって来るから、美加子は先生と塾長にお礼を言って塾を出た。


塾の中は暖房で暑かったせいか風が頬を冷やす。



明日から、塾で先生としてだけど、行けば会える。

旭先生...かっこいい。



美加子って、単純なのかな...。


あ、またお礼言いそびれた。
もう今更かな。


旭先生の顔を思い出すだけで、また心臓がドキドキする。