新しい〝先生〟と一緒にB教室に入って席に着いた。


「じゃあ、早速やろっか。分からないところって?」


「...初めましてじゃないんですけど」


「え?」



「こないだ!駅前で!助けてもらったんですけど!!」



ちょっと大きな声を出したものだから、先生は目を丸くして驚いていた。

ついこないだの事なのにどうして気付いてくれないの!?っていう感情が怒りとなって美加子の口は動いていた。


これじゃあ逆ギレなのか意味が分からない。




「...え、お前あの時の子!?」



「そーだよ!なんで気付かないの!?」



「いや...だってあの時私服だったし?てっきりあの時は高校生かと思って」



まぁ確かに、最近は私服で歩いてると高校生に間違えられる事は多いけど、顔は一緒でしょうが!



美加子の最寄りの駅だからもしかしたら
また会えるかなって心のどこかで思ってた。

会えたらちゃんとお礼が言いたかったはずなのに、美加子怒ってバカみたいじゃん。




「美加子はすぐ...気付いたもん」



「ごめんて。まさか中学生だったとは。びっくりびっくり」




あはは〜と納得したように笑ってますけど。

なんか先生の笑った顔を見てたら自分が怒ってるのが何でか分からなくなって、
これ以上はやめて、鞄から宿題を出して机に広げた。




先生は私の隣に座って、横からテキストを覗く。


ちょっと...近くない?




「小林さん」


「...なっ、なに」




「お前、こんなんで受験大丈夫なの?」




え。