始業式とHRが終わって美月とバイバイして塾に向かう。
HRで進路希望調査表を配られた。
美加子はまだ進路を決めていない。
勉強に困らないように、塾に通わされてるけど、勉強好きじゃない。
たぶん高校もこのままエスカレーターでとりあえず大学行って、就職して、結婚して、子供産んで、専業主婦とか?
絵に描いたようなストーリー。
美加子の人生それでいいのかな。
塾に着くと、塾長室から塾長が出てきた。塾長は35歳の優しいおじさん。
「小林さんどうしたの?まだ昼だよ?」
始業式が終わって直行したからまだ昼過ぎなのだ。
「美加子今日、塾なかったんで来ちゃいました。実は明日春休みの宿題提出で、分からないところがあって」
「春休みの宿題!?まだ終わらせてなかったの?どーせ小林さんのことだから遊んでばっかりだったんでしょ!」
「まぁまぁ、美加子ちゃんとやるんでお願いします♡」
塾長は『まったくもー』と呆れていたけど、何だかんだ美加子はいつも塾長に頼っている。
試験の前日とか、夜遅くまで勉強見てもらったり。超いい人だ。
「あ、どーせだったら新しい先生来てるからその先生に頼もうか」
「え、新しい先生?」
「戻りましたー」
私が入ってきた真後ろの入り口が開いて流れた風が足元を通り抜けた。
後ろを向いて、声の主を確認。