「涙目になってっけど、大丈夫か?」
「はっ!なってない!」
「嘘つけ。本当は怖かったんだろ。あーゆう奴らに絡まれたらキャーって叫べばいんだよ」
何この人...。
しかもキャーって声が女の真似をしたのか高かった。
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
彼は私の頭を軽くチョップしてその右手で手を振った。
パーマっぽい茶色の髪。
マフラーにPコート。
大学生かな?
まぁ、少しかっこよかったけど。
私は言われた通りにいつもよりも早歩きで家まで歩いた。
そういえば、お礼言いそびれた。
もう会うことはないから、心の中で言っておこう。