なんか、夏葉も伶太君も似てる。
お互い本気で好きなくせに、お互いを想うあまり自分で空回りしちゃってる。
不器用で、ちょっぴりおばかなんだね。
「タイミングとか言葉とか大事なのかもしれないけど、それよりも大事なのって気持ちでしょ!ちゃんと全部言いたい事伝えたの?伝えてないなら今すぐ走って伝えてきなさい!」
伶太君は私の言葉に少しポカンとしたけど、自分の両手で頬をパチンと叩いて
『目覚めた!行ってくる!』
さっきとは、全然違う表情で走って行った。
夏葉には話してみてと言った。
伶太君には伝えなさいと言った。
正直お節介なのかもしれないけど、これが《恋が分からない私》の精一杯。
ちゃんと話せるといいな。
ちゃんと伝わるといいな。
伶太君の後ろ姿を見つめながらそう願った。