「今日から3年生かぁ。受験かぁ...」


夏葉は肩をガクッと落として溜息をつく。まったくテンションの上がり下がりが激しい。



「あっという間だよねー。私は受験よりもクラス替えの方が気分が重いよ」


「そーだよクラス替えじゃん!美月3年では一緒になろうね!?」



いや、一緒になろうねって言っても決めるのは先生なんだけど...。
夏葉とは1年が一緒で2年が違ったから一緒になれたらいいけど。


「伶太君とも一緒だといいね」


私がそう言うと、顔を少し赤くして『そ、そうだね!』と夏葉。



伶太君とは、夏葉の好きな人である。
夏葉と似ていて明るくてかっこいい男の子。


夏葉の話を聞いてる限りだけど、2人は結構いい感じっていうか、伶太君も夏葉に気があるんじゃないかなって思う。

夏葉は鈍感だから気付かないけどね。



そんなふうに喋りながら歩いてると学校はあっという間で、校門を通って生徒昇降口まで私の心臓はドキドキしっぱなしだった。



春の匂い。新しい出会い。不安と緊張。どうしてもこの感じは慣れてくれない。


昇降口の入り口のところに新しいクラスが貼り出されていて、生徒達も溢れかえっている。