「あ、これ。どっちがいい?」
先生にもらった缶ジュースを持ってたことを思い出した。
缶ジュースはリンゴとオレンジ。
私はオレンジになった。
「藤田先生優しいね。わざわざ用意してくれるなんて
「咲宮さんだからだよ。いつもはくんねーもん」
そーなんだ。
だから皆には内緒なのか。
わたしの家は学校から歩いて10分かからない距離にあるから割と近めだ。
折原君とは小学校が違うから別区域。
マンションの前に着いて、折原君はマンションを見上げて『でっけーマンション』と言った。
「じゃあ...」
「おう、また明日な!」
私は家に入らずにしばらくその背中が遠くに行くまで見つめてた。
エレベーターで5階まで上がって家の中に入った。中は暗くて誰もいない。
自分の部屋に入って鞄を置いて、中から
藤田先生がくれたオレンジジュースを取り出して机に置いた。
なんか、不思議な時間だったな。
初めて話した男の子。
一緒に残って冊子作ってたくさん話して
一緒に帰ってきた。
普通のことなのかもしれないけど私にとっては今日のこと全部初めて。
休み明けの月曜日はもっと話せるかな?
また先生に何かを頼まれたら...なんて期待してる。