職員室に着くと、先生が気付いて『こっちこっち』と手招きをする。

先生の机の上に冊子を置いた。


「二人共ありがとう。助かった。これはお礼だ」


そう言って先生は缶ジュースを2本私に渡してきた。
『他の奴らには内緒だぞ』と添えて。

挨拶をして失礼しましたと職員室を出た。


「じゃあ、帰ろっか」


あ...そっか。
この流れだと一緒に帰るってこと!?


「一緒に帰っていいのっ?」

気付いたらそう言ってて自分で驚いた。

折原君は振り向いて少しキョトンとした顔をしたけど、すぐに笑った。


「何言ってんの、一緒に帰ろ」



中学に入学して、3年生になったけど初めて男の子と2人で帰る。

さっきまで普通に話せてたのに。
何だか...不思議な気分。

今まで感じたことないこの気持ちは...?





「咲宮さん家どの辺?」


昇降口を出た辺りで折原君が沈黙を破った。


「えっと、噴水公園の裏のマンション」

「お。じゃあ俺通り道だ」

「折原君の家はどの辺なの?」

「成滝小の近くだよ」


私の家からは歩いて10分くらいか。