「あ、じゃあこの子が噂の中学生?」


旭先生の隣いた友達っぽい男の人が私を上から見下ろしてきた。


旭先生より派手な感じで髪も明るい。



「旭のメアド知りたくて勉強頑張ったとか可愛いね」


っえ!そうだけど!!
何でこの人が知ってるの!?

やだ、恥ずかしい!





「ナナ、お前は黙ってろ」


「えー、俺も喋りたい〜」




え ─────


今...




「...ナナ?」


「ん?あ、俺?旭と同じ大学の金井七都です。つまり、俺も君の先輩?」



七都...

ナナ...




「ナナって、男の人!?旭先生の彼女じゃなくて!?」



美加子の声に2人はきょとんとして、金井さんは笑い出した。



「っあはは!俺っ?まぁ確かに彼女レベルで一緒にいるけど正真正銘の男!」


「だ...ってナナって女の名前だし...それに旭先生、ナナさんは大切な人って!」



「そりゃ大切だろ。友達なんだから」



友達...大切な人。名前。
紛らわしすぎるでしょ!


美加子は頭がグルグルして足の力が抜けて地べたに座り込んじゃって、持っていたノートも全部ぶちまけた。



「ちょ、大丈夫かっ?」


旭先生は、座り込んだ美加子の身体を支えてくれた。
ナナさんや藤田先生はぶちまけたノートを拾っている。


頭が真っ白。


ナナさんは、女じゃない。
先生の彼女でもない。



完全に美加子の勘違い。




「小林さん?」



旭先生は俯いた美加子の顔を覗き込んで来る。

その顔は心配したように、焦っている。


こんなに近い距離で。












「...先生...好きです...」