中間試験が終わって、次の週の頭のLHRで答案が返される。
張り出してあった順位は過去最高に良かった。
でも、順位が良くても一つでも80点以上が無かったらダメなんだよ。
だから、まだ喜べない。
藤田先生に呼ばれて、答案を取りに行くと先生はニッコリと笑った。
「小林〜、先生驚いたぞ〜。お前もやれば出来るじゃないか。これからも続けてけよ」
渡された答案用紙をザザッと見ると、全部80点以上。
最高は93点。
不安な数学は...何とかギリギリ80点。
緊張の糸が切れたように、嬉しさがこみ上げてくる。
「よかったね、美加子♪」
「ううん、本当に美月のおかげだよ!」
「そんなことないよ。美加子が自分で頑張ったからだよ」
今日の授業、全部サボってでも早く旭先生に結果を見せたい。
メアドも知りたいけど、まずは良くやったねって褒めて欲しい。
長い長い学校が終わって、私はそのまま塾に直行した。
塾に入ると入り口付近にあるコピー機の前に旭先生がいた。
「うお、ビックリした。小林さん今日入ってたっけ?」
入ってないからわざわざ来た!
美加子はカバンの中からテストの答案用紙を取り出して先生に見せた。
「全部80点以上!」
「すげ〜...小林さんさんが本当に取るとは。無理かと思ってた」
「...先生、約束ちゃんと覚えてますか」
「はいはい。覚えてるよ。よく頑張ったね」
旭先生はちょっと笑って、スボンのポケットからケータイを取り出した。
夢が叶ったってほどじゃないけど、ここ数日の努力が帰って来た。
美加子のケータイのアドレス帳に《沢田旭》の文字。アドレス、番号。
好きな人の連絡先を知るのにこんなに面倒くさくて、時間がかかったけど、
今まででこんなに嬉しいのは初めて。