「俺はムリだぞ!ただでさえ子供が3人もいて生活が厳しいのに!」
「私だってそうよ!?でもまだ中学生なんだからだれかが面倒を見なくちゃいけないでしょ!?」
……今日は、なんてお月様が綺麗なんだろう。
葬儀場の、縁側。
ふすま一枚へだてられたここで、私は感情をなくしたように、その会話を聞いていた。
久々に集まった親戚が私の親権についてもめている。
……寒い。
心も、カラダも。凍えてしまいそう。
感情がなくなった人形みたいに、カラダのどこにもチカラが入らない。
近くでされている激しい言い争いも遠くから聞こえるようだ。
とても悲しいのに。
とても寂しいのに。
心は波風が立ってなくて、すごく穏やかだ。
だれもお姉ちゃんが死んだことについて、悲しまないのかな……。
そんなに私のこと邪魔かな……。
「…………」
スーッと、まばたきをしない瞳から涙が一筋流れ落ちた。