「っうーん…。」
目を覚ましたキリカは焦った。
見慣れない天井を背景に日本人のような
男性が、鋭い目で自分を覗いていたのだ。
「あっごめん。起こしたかな?」
以外に口調が優しくて、ベッドに寝ていた私をゆっくり起こしてくれた。
「あの…ここは?」
「あれ?アストラスから聞いてないの?」
聞きなれた名前が出てきた。きっとこの人がアストラスの、言ってた友人?
でも友人達って言ってたから他にもいるのだろう。
「いえ…それより私は…、あっ!!」
思い出したように声を上げるとびっくり
したのか日系の人は目を丸くした。
「あのっ!私っ大きい化け物に襲われてっ!それで助けてもらってっ!」
焦って説明しようとすると。
ポンッと頭に手をのせられた…。
「大丈夫、事情は聞いているよ
俺はアストラスの友人の弟子の、羅絶。」
「よろしく。」ニコッと微笑み彼は私を
落ち着かそうとしてくれている。
「あっえっとキリカです!…アストラスと
ここに来る予定だったんです。」
「えっと…イブの器の子であってるかな?」
「はい…。」と答えた私は不安だった。
きっとアスは急にいなくなった私に
怒っているに違いない。何も出来なかった
私を。
「アストラスは多分ここに来るよ。
それまでゆっくりしてて良いから。」
優しく声をかけられるが、怒られる不安と
恐怖が私を覆っていた。
「あー!おきたのかー?イブの器!」
とてとてっと私を助けてくれた、小さい虎の男の子が走ってきた。
「キラ…声が大きい…。」
もう1人の狼の子も歩いて近づいてきた。
「おめーさ血ぃ見て倒れたんだぜ?
だからオレ様がはこんでやった!」
どんなもんだっ!とドヤ顔をしてくる
虎の子は可愛らしく少し癒された。
「ありがとう。おかげでたすかったよ。」
「おっおう…女を助けるなんて当たり前だ」
微笑んで頭を撫でると、なれてないのか
急に縮こまって照れてしまった。
「イブの器?幼いねなんか…。」
狼の子が少し構って欲しそうに見ていたので、
「私はキリカって言うの、君も助けてくれてありがとう。」
そう言って虎の子と同じように撫でてやると。
「別に…。」
と、かぶり物を深く被ってしまった。
非常に二人の仕草が可愛く、暗い感情を
忘れニヤけてしまった。
「オレはキラ!キラ・トーマス!
よろしくキリカ!」
元気よく自己紹介してくれたのは虎の方の
男の子。
「同じく…クラ・トーマス…。よろしく。」
「声ちいせーな!クラ!」
「キラが大きすぎるだけ。」
「なんだとっ!」
喧嘩が始まりそうになっなのでとっさに
「よろしくね!キラ、クラ!」
と言い二人の間に立った。
『早速気に入られたみたいだな…。』
「そう…ですね。」
微笑ましい光景を羅絶ともう1人が見ていた