というわけで、私としては少々不本意ながら、おなじみの四人で帰路についたのだった。

「…あ、いい匂い…」

家の最寄り駅の改札を抜けた辺りで、どこからかふわふわとしたいい匂いが漂ってくる。

「あ、ホント…」
「何の匂いだ、これ?」
「…あっ、あれじゃないですか?」

鶴花さんの指の先には、屋台のドーナツ屋があった。

「どうする? 買っちゃう?」

そう言いながら、先輩はすでにカバンから財布を取り出していた。

「先輩、買う気マンマンじゃないですか…」
「甘いもの、日向ちゃんも欲しいでしょ? それとも、ダイエット中?」
「そうじゃないですけど…」
「なら、断る理由もないじゃない。行くわよ」
「…強引だな…」

一夜くんの言う通り、先輩にはこのように少々強引なところがあるのだが、こういう場合には優柔不断な私の行動を決定してくれるのでむしろありがたい。

「いただきま~す!」

近くのベンチに腰掛け、ドーナツを一口。

「ん~!」

柔らかな甘みが口に入れた瞬間に広がり、体全体が天国状態になる。

「一夜、そんなに甘党だったっけ?」

一夜くんの買ったドーナツを見てみる。何と一夜くんは三、四個ほどドーナツを買っており、そのどれもが、私達女子でも手を出していないようなとてつもなく甘そうなドーナツだったのだ。