それから、数年の時が過ぎた。

「おめでと~!」
「やったな、一夜~!」

横から歓声が溢れる。一夜くんの友達ならびに親戚一同と、私の友達ならびに親戚一同が、私達の門出を祝福してくれていた。

「パパ~!」

玉生ももう赤ちゃんではなく、もちろん私達の結婚式に来ていた。先輩…もといお義母さんの膝の上に座った玉生は、天使のような笑顔を見せていた。

「日向ちゃん」

そしてその結婚式もお開きとなり、迎賓の皆さんが帰ろうとしている中、お義母さんが話しかけてきた。

「どうしたんですか?」
「…玉生ちゃん、『ママにあいたいの~!』って、さっきまでずっとダダこねてて…。疲れたのか寝ちゃったみたいで」

お義母さんの右にいた鵜児くん…じゃなくて双生くんは、玉生をおんぶしてくれていた。

「あっ、ゴメンね~、双生くん…」
「謝らなくていいよ。…それより、だいぶ大きくなったね~。肩が筋肉痛になりそう…」

三歳の頃の記憶なんて全然なかったけれど、多分お父さんにも、同じように重い思いをさせちゃってたんだろうな…。

なんて思っていたら、向こうの方からお父さんもやって来た。

「お父さん、どこ行ってたの?」
「いや~、悪いな。てっきりあっちに行ってるもんだと思って…」
「も~、昔から筋金入りの方向音痴なんだから、下手に動かない方がいいって言ってるでしょ?」

出所したお父さんがここに来たことで、やっと、「家族」が全員揃った。