「あ~あ~、よしよし、大丈夫大丈夫。玉生ちゃんのおばあちゃんが来ただけだからね~」

体を軽く揺らしながら、玉生をなだめる。それでも、玉生は泣きやまない。

「私がおばあちゃんって…何だか実感わかないわね~…」
「先輩、助けて下さい…玉生が泣きやまないんですけど…」
「気にすることないわよ。泣いてるのは元気な証拠。それに、しばらくしたら泣き疲れるから心配しないで」
「そうじゃなくて、ここは病院ですから…」

だって泣きやまないんだもん、と不満に思っていたのもつかの間、玉生は再び、静かな寝息を立てた。

「…ねぇ、日向ちゃん」

思い出したように、先輩が話を切り出した。

「何ですか、先輩?」
「ちょっと相談なんだけどね…」

そして、先輩は驚きの一言を口にした。

「日向ちゃん、鴫城家の一員にならない?」
「…えっ…?」
「…日向ちゃんは、私達家族に大きな貢献をしてくれた。バラバラだった私達を、一つにしてくれた。それだけじゃない。一夜のことを、大切にしてくれた。だから私達には…日向ちゃんが必要だし、日向ちゃんを家族の一員として迎え入れたいの」

要約すると…私は、一夜くんとの結婚を勧められていた。

嬉しかった。…地球がひっくり返ってもその一言では片づけられないほど、嬉しかった。だから私の目からは、大粒の涙が何滴も流れ続けていた。

「一夜も…それでいいわよね?」

少し間が空いて、一夜くんは言ってくれた。

「ああ。…これからもよろしくな、日向」